甥っ子たけしの農作業日誌

   春休み、甥っ子たけしの頑張りを綴ります。

月24日、千葉にいる義姉夫婦の息子たけしが来る。
今春、高校2年生になるたけしからは、前から、春休みになったら農作業を手伝いに行きたいと言う話があった。
「3食・昼寝付き、アルバイト代なし」ならいくらでも受け入れる、と本人には冗談交じりに言ってきた。

お昼近くに新白河に着く新幹線で来る。
その時間に間に合うように、子供達3人を連れて迎えに行く。
大きな荷物を持ってたけしがやってきた。

女房に、途中でお昼を食べてくるように言われていたため、駅近くの「白河ラーメン」を食べる。
「大盛りにするか?」
「うん、超大盛りでもいい。」

野暮用などというと、怒られてしまうがこの時期何かと用事が多い。
2・3時間でもやれる時に仕事をしないと、どんどん遅れてしまう。
3時過ぎに我が家に着いた。
女房とばあちゃんに「よく来たな。」と迎えられた後、私は長靴を差し出した。
トマトのポット用の土取りが、まだ中途半端で終わっていない。
文句も言わずに軽トラックの助手席に乗り込んだ。

やはりおとこ手がひとり増えると仕事の効率が違う。
一時間も経たずに、軽トラック一台分の土を取り終えた。

「いつまでいられるの?」と女房。
「・・・・・。」
「嫌になったら帰る?」
「うん。そうする。」

米の飯ならいくらでもある。腹を減らす事はないぞ、たけし!
頼りにしてます。(笑)


3月25日、ちょうど6時を回った。
「たけし、おはよう!」
「たけし、おはよう!」
何度か呼びかけたが、まだいい夢を見ているようだ。
昨日は、中学3年になる我が家の長男・郁生と共に「離れ」に寝た。

早朝、風が強くなる前に、ハウスと共に雪で潰れてしまった2坪ほどの小屋を片付け、いらないものを燃やしたいと思っていた。
下のハウスは以前田んぼだったため、「なが置き場」として使っていた小屋だ。
ほとんど使わない材木ばかりを置いていたのだが、やはり片付けるとなると容易ではない。

7時前、もう一度声をかける。
どうやら今度は起きたようだ。
「今日は潰れてしまったなが置き場とハウスのパイプを片付けて、その後は、堆肥運び、よろしく頼むね。」
「うん・・・。」

言われたことはきちんとやる。
無駄口はたたかない。
力もある。
最初はこれが一番大切なことだよ。

私はどちらかというと饒舌なほうではない。
その分女房がしゃべってくれるので釣り合いがとれるのだが、たけし、お前も無口だな。(笑)


月27日。うーん、用事が多い。
私や女房が出かけて、たけしだけに仕事を言いつけるわけにもいかず、少し手持ち無沙汰かな。

今日は、一日、直売所の研修で女房はいない。

昼飯、晩飯をどうするかで悩んでいたところ、「俺が作る。」とのこと。
春休みのため、いとこにあたる我が家の子供達3人もいる。
頑固ばあちゃんを含めると6人分だ。
義姉からは、洗い物は上手だ、との話は聞いていたが、作るほうもとても上手だ。
郁生や弥生を上手に使って台所仕事をこなしていく。
これがまた手際がいい。

農作業だけが仕事ではない。
それにしてもたけしのお嫁さんになる人は幸せだな・・・、などと思いながら私は晩酌をしていました。(笑)

※本日、義兄の友人から、たけしに励ましのメッセージを頂きました。
ありがとうございました。


月1日。あちこちで桜の便りが聞かれ始めたというのに、ここ3日は冬に逆戻りしたように連日の雪である。
たけしも「離れ」を占領してマンガにふけっていたようだ。

今日の晴れ間を利用して、ハウスの屋根ビニールを張ることにした。
日中、少し雪のちらつく事があり、張れるかどうか心配したが、午後一番、風の収まったのを利用して決行した。

実は、今日も用事で女房はいない。
その代わりといっては怒られるが、クラブが休みの長男・郁生を引っ張りだした。

ほとんど無風の状態であれば、私と女房とふたりで充分張ることが出きるのだが、少しでも風があると何人掛かっても張ることは出来ない。
たけしには、あらかじめ順序を追って説明した。
郁生は何度かやった事があるため要領を心得ている。

若干、風があったが試してみることにした。
「いくぞーー。」
3人共持ち場について、ビニールを引っ張り上げる。

「たけし!引っ張れ――。」
「マイカ線を縛れ!」
ほんのそよ風なのだが、屋根に上がった止められていないビニールは風をはらみ、今にもずり落ちそうである。

「たけし!踏ん張れ――。」
「もっと引っ張れ――。」
畑での私の怒鳴り声を聞いて、頑固ばあちゃんが駆けつける。
この位の風なら、ばあちゃんが加われば何とかなる。

要所・要所をマイカ線で縛り終え、風に負けることなく何とか張ることができた。

初めてとはいえ、何とか合格点かな?
ただ、物事・仕事には緩急があって、いつでも同じに動いていてはダメだよ。
こんな時は、普段のペースとは全く違うのだから。(笑)


月4日。
たけしの農作業日誌も今日で最後である。
午前の新幹線で千葉へ帰る。

4月2日、先日取ったトマトのポット用の土が大分乾いてきて作業がしやすくなったため、一日かけてたけしとふたり混ぜ合わせる事にする。
冬の間作っておいた「くん炭」を混ぜ合わせ「唐鍬」や「スコップ」を使いむらのないように作り上げる。

たけしにはどうやらこの作業が大分効いたらしい。

ただただ、唐鍬を振り回し、スコップを使い土を混ぜ合わせる。固まりを見つければ砕き、ごみを見つければ取り除く。腰を曲げ、ケツを上げ、流れる汗を拭いながら慣れない作業に精を出す。

その夜、たけしはほとんど飯を食わなかった。

翌、4月3日。
風邪を引いたようだとたけしは言う。
一日、布団の中で過ごした。
もうそろそろ学校も始まる。4日は白河まで出かけねばならない用事がある。
女房の口からその足で送って行くと伝えさせた。

たけしにとってこの10日間は楽しかったかい?
コンビニもなく、友達もいないこの山の中での生活で、何か感じるものがあったかい?

帰り際、ゴールデンウィークにまた来る、とたけしは言った。
「連休中の農作業はこんなに楽じゃないぞ。」
「うん。今度は遊びでくる。」

見事にたけしに一本取られた。(笑)


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